《MUMEI》 歩と海〜歩視点〜 過去から進めなくなってる・・・・・? その単語がどんな意味を持っているのか、俺にはよく理解できなかった。 海は"俺の口からは言わない"っと言ってから何も言葉を発さず、険しい表情をしていた。 何となく、それ以上は聞けなかった。 しばらく黙々と歩き続けると、海が立ち止まり一軒家を指差す。 「あれが栄実の家?」っと俺が尋ねると海は静かに頷いた。 栄実の家のドアの前に立ち、インターホンを押す。 しかし物音一つしない。 「だから出てこないって言っただろ?」 海は、ふぅ〜っと息を吐きながら壁に背を向けて座り込む。 今度は2回連続でインターホンを鳴らす。 でも反応は返って来ない。 「なぁ栄実!!居るんだろ?」 俺は、ドアを叩きながら居るかも分からない存在に呼びかける。 「なぁ栄実!」 「もう放っといてやれよ・・・1人になりたい時だってあるだろ?」 海が立ち上がり、ドアを叩いていた俺の手を掴み、諭すように言う。 俺は、そんな海をキッと睨んだ。 「何でだよ!海は今、栄実が辛い思いしてんの知ってんだろ? 今、側にいないでいつ側にいるんだよ!?」 海が言った言葉の意味は理解出来なくても、栄実が苦しんでいるっていうのは理解できた。 俺の言葉を聞いた海は、悔しそうに顔を歪めて消えそうな声で言葉を発する。 「俺だって・・・栄実の力になりたいよ。 でも俺に出来ることなんて何もない・・・」 「それ誰が決めたんだよ? 出来ることが何もないって誰が決めたんだよ? ないって思うなら探せばいいだろ?」 弱った海に構わず俺は言葉を続ける。 「探してるよ・・・! でも俺がやったことでまた栄実が傷ついたら・・・」 海は必死に言葉を紡ぐ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |