《MUMEI》
吐き出された言葉
   〜海視点〜


俺のせいでまた栄実が傷ついたら・・・



言葉の続きを必死に探す。


「傷付けたら、また出来ること探せばいい!

傷つけたって思ったら、ちゃんと謝って



次は笑顔にさせてあげれるよう頑張ればいい!

幸せにできるよう努力すればいい!」


そんな俺に歩はハッキリと言った。


歩の声は、俺の心の奥にまで響いた。



やる前から、結果ばかり気にして何もしなかったら

何も変わらない。


傷つけた後のことなんて何も考えてなかった。


傷つけたらどうしよう・・・それだけが頭の中を行ったり来たりするだけで、その後のことなんて考えてもみなかった。


次は、笑顔に幸せにしてあげればいい・・・か。


俺が何も言わないでいると、歩が栄実に話しかける。


「なぁ栄実?そこに居るんだろ?」


耳を澄ますと、とても小さいけど鼻をすする音が聞こえる。


歩の問いかけに返事はない。


俺は静かに歩を後ろに下がらし、ドアを開けた。


玄関にしゃがみこみ涙を流し鼻をすすっている少女――栄実の肩がビクンと震える。


「やっ来ないで・・・」


栄実は立ち上がり、走りだそうとする。


パシッ―――。


掴んだ手は、春だというのに冷たく何時間もここに居たことが分かる。


「やだっ離して!」


必死に俺の手を振り払おうとする栄実。


歩も玄関に入り、ドアを閉める。


「入って来ないで!


放っておいてよ・・・」


栄実は、俺たちに拒絶の言葉を投げつける。


「放ってなんかおけない。栄実が辛いなら側に居る。俺達友達だろ?」


歩は栄実の拒絶の言葉なんて気にしていないかのように笑顔を浮かべる。


「私は・・・」


栄実は一瞬言うのを躊躇ったが、次の瞬間には思いっきり言葉を吐き出した。


「私は、友達だなんて思ったことない!!」

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