《MUMEI》
最後のキス
「俺、言えなかった、俺は夏海が好きだから、おまえが、俺をどのくらい、好きか、わからなかったし、一方的」

間髪いれずに、

「私は、あんたが、好きなの!!」

夏海の怒鳴り声が、響いた。

奴は、夏海を、抱き締めていた。

時間が止まった。
涙は止まらない。

「ごめん・・」

奴の精一杯の言葉。

「・・私も自分がわからなかった、でも、あんたがいなくなるのって、知ったら、切なくて苦しくて、あんたの事すきだって、気付いたの。私もバカね、遅すぎたかな?こんな、クリスマスや誕生日迎えるなんて、悲しすぎよね」

優しく唇を奴はふさいだ。二度目のキス

「ごめん、俺も、バカだな、二人でバカ同士だ。夏海に、会いにバイト先行ったんだ、会って話したくなって、不安になって」

「うん」

「遠距離恋愛も考えたんだけど、二人のためには、別れた方がいいかと、会えないし、お互い忙しくなるしな」

「私はいや、嫌いになるまで、遠距離でも、なんでもしたい、学校やめて、ついてく!家出する!」

「・・・なつみ・・」

夏海の自分への気持ちに、ただ、びっくりして、とまどった。

純粋に付き合っていただけに、とまどいも、大きかった。

しかし、男女がつきあう先には、結局求めるものは同じだ。結婚や肉体関係が、必ず絡む。

「夏海、気が済むまで、付き合うか?」
「言い方、気に入らない」
「遠距離でも、和えなくても、俺でいいのか?」
「うん」

夏海は、それでもいいと、キッパリ言った。


クリスマス前に、奴は、越していった・・・・
三度目のキスをして。

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