《MUMEI》

静岡に到着…。


『おぉ〜赤石!』


駅のホームで俺に向かって手を振る男…


『…まっまさか!
…お前、黄村か?』


『そうだよ。』


“はぁ〜”
こいつも俺の幼稚園の同級生だった…黄村だ。


『何だよ赤石!?
会うなり、ため息なんて感じ悪いぞ!』


『…あぁ。悪い。
お前、随分痩せたな…。』


『おお!幼稚園の頃は、かなり太ってたからな…。
今は“炭水化物抜きダイエット”ってやつのお陰で、痩せたんだ!』


得意気に話す黄村に、すかさず10万円を渡す。


『頼む!黄村!!
この金で今日から1ヶ月間カレー食ってくれ。』


『はぁ〜?カレー!?
何でだよ。俺の話聞いてた?今、炭水化物抜きダイエットしてるんだってば!』


『…分かってるけど頼む!俺の夢がかかってるんだ。1ヶ月だけだから…その後、またダイエットすればいいだろ?…な!?
カレーライスが駄目なら、カレーパンでもカレーうどんでも何でもいいんだ!
1ヶ月間食ってくれ!!』


『…おい…ちょっと待てよ!!…赤石!!』


俺は黄村が止めるのを無視して、電車に飛び乗った。


“黄村は幼稚園の頃から太っていて、いつもニコニコした癒し系だったから安心してたのに…。
何であのまま成長してねぇんだよ…。”


俺はイラだちながら、次の人物に会うべく沖縄に向かった…。

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