《MUMEI》
合宿の朝
(誰も、来ない、よな?)


早朝五時に起きた俺は、一度部屋の扉を開け、廊下や駐車場・駐輪場の方まで見回してから、再び扉を閉めた。


鍵をかけた後、普段は滅多にしないチェーンもかけた。


(…よし!)


俺は、素早く衣類を脱ぎ捨て、シャワーを浴びた。


明日の夜は、風呂に入れないから、念入りに髪と体を洗う。


それから、一度浴槽を綺麗にしてお湯をため、湯船に入った。


(ユニットバスってこれだから不便なんだよな)


今は夏だからまだいいが、冬は結構辛い。


それでも、このアパートの浴槽が広いのは唯一の救いだった。


(屋代さんでも足を伸ばせるらしいしな)


俺は、湯船から出て体を拭いた。


素早く衣類を着て、ユニットバスを綺麗に洗う。


ゼリー飲料を飲んだところで、時刻は六時。


俺は、もう一度、外の様子を確認した。


(…ふぅ)


誰もいない事に安心した俺は、床に横になった。


集合時刻は前回と同じ九時。


前回は、津田さんが来て、予定より早く出発したが、今回は、いつも通り八時半に出ればいい。


時刻は、六時半になろうとしていた。


(ちょっと寝るかな)


俺はゆっくり目を閉じた

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