《MUMEI》
煩い訪問者達
三十分後。


「ここか?」

「多分。だって田中って表札あるし」


(…?)


俺は、一応目を開けたが、まだ頭が働いていなかった。


ピンポ―ン、ピンポ―ン

ドンドンッ

ガチャガチャ


「お〜い、祐也〜、祐也君、起きてる?」

「朝ですよ〜、合宿ですよ〜! 起きなさ〜い!」


「き…気持ち悪い声を出すな!」


男達の気味の悪い裏声に、俺は慌てて玄関に向かった。

「「おはよう!」」


「…何だ、その荷物は」


俺は、うんざりしながら


二泊三日にしてはありえない、大量の荷物を抱えた


守と拓磨を見つめた。


「え〜、お菓子だろ、ジュースに枕に…」


(買えよ、スーパー向かい側なんだから!つーか枕って…)


「枕、それって有り得なくね〜?」


拓磨は守にツッコミを入れたが


「「抱き枕の方が有り得ね〜よ!」」


自信満々に、巨大な抱き枕を取り出した拓磨に俺と守はツッコミを入れた。


ドンドンッ!


(ヤバい…)


左隣の大学生が煩いと言わんばかりに、壁を叩いた。

寛大な右隣の屋代さんは、壁を叩かなかったが、俺達の声は聞こえていただろうと思う。


「で? 何でウチに来たんだ?」

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