《MUMEI》
目的
「それは…」

「なぁ?」


?


俺の質問に、二人は顔を見合わせて、照れ笑いを浮かべた。


「何だよ?」


俺は、首を傾げながらもう一度質問した。


「今日から合宿だろ?」


守の言葉に俺は頷いた。


「二泊三日…だろ?」


拓磨の言葉にも頷いた。


「女子もいるだろ?」


「…で?」


「「鈍いぞ、祐也!普通男女が夏休みに合宿なんて言ったら、何か期待するだろ!?」」


ドンドンッ!


「…煩い」


左隣の壁が壊れそうな位叩かれたので、俺は二人を睨んだ。


「普通は何を期待するんだ?」


普通という単語が気になり、俺は改めて小声で二人に質問した。


「だから、俺は、茜(あかね)さんと…」


守が言う茜さんとは、演劇部の三年生で、『結子』役で、守が想いを寄せている先輩だった。


「俺は、津田さんと…」


(まだ諦めてないのか)


拓磨は夏休み前までに、百回は津田さんに振られていた。


「「合宿で、もっと仲良くなりたいんだよ!

協力してくれ、祐也!!」」


その時。


「煩い!」


左隣の大学生はとうとう叫び出し


トン…


屋代さんは申し訳なさそうに壁をノックした。

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