《MUMEI》
最後の一言
時刻はまだ八時前だったが、俺は守と拓磨を連れて部屋を出た。


「ほら、謝ってこい」


嫌がる二人を左隣の部屋の前に立たせて、俺は右隣の部屋の前に移動した。


ピンポ―ン


「…はい」


(やっぱ、昨夜、ヤってたよな〜)


出てきた屋代さんの後ろに、かなり疲れた感じの仲村さんが見えた。


「すみませんでした。朝早くから騒いで」


「いや、今日から例の合宿?」


「あ、はい」


屋代さんと仲村さんは、希先輩と高山から演劇部の合宿の話を聞いていた。


「柊の棒読み、何とかなるといいね」


「ハハハ…、一応、今日から高山には専属コーチがつくみたいです」


「へぇ、誰?」


「さぁ…」


相田先生は、そこまでは教えてくれなかった。


「「祐也〜…謝ってきた」」


「あぁ」


守と拓磨はかなり憔悴していた。


「じゃあ、俺達また寝るから、気を付けてね」


「はい、ごゆっくり」


俺の言葉に、屋代さんは一瞬ビクッとして…


「あぁ、ゆっくり寝るよ」

と言って玄関を閉めた。


(言い方悪かったかな)


最後の一言は、余計だったかもしれないと俺は反省した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫