《MUMEI》
拒絶
「「でさあ、祐也」」


「協力だったら、しないから」


甘えるような口調の二人よりも先に、俺は自転車をこぎ始めた。


駐輪場に着いたのは同時だったが、二人は大量の荷物を自転車に固定するのに手間取っていた。


「何でだよ〜、まさか、お前、茜さん好きなのか?」

「違うよ」


「じゃあ、津田さんが好きなのか?」


「…違うよ」


(好きとは言われたけど…)

「「じゃあ、何でだ!」」

二人は猛スピードで俺に追いついた。


「面倒だから」


以前の俺なら、『俺の協力が無くても大丈夫だよ』というところだが…


本音をぶつけてみた。


二人は一瞬言葉を失った。

「冷たいぞ、祐也」


「冷たくて結構」


「お前そんなキャラだった?」


「元々こんなキャラ」


「「…」」


冷たく言い放つ俺に、二人は固まった。


(これで、友達も終わりかな?)


「祐也君。知ってる?合宿でもう一つ育めるものがあるって?」


守の言葉に俺は首を傾げた。


「それは、友情だ! 青春だ!」


拓磨はスポーツマンらしく熱く語った。


(何だ、それ?)


俺とは無縁の単語ばかりだった。

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