《MUMEI》
全員集合
集合時間十分前。


合宿所に、次々と荷物を持った部員達と、高山と、希先輩、それに津田さんと…

「よ! 祐也!」


「何でいるんですか?」


食材を抱えた祐先輩に俺は驚いた。


「助っ人」


「助っ人って…」


演劇部は、圧倒的に女子が多い。


普通、女子はそれなりに料理ができるはずだ。


「演劇部の女子はね、調理実習で『洗い物組』が多いのよ」


希先輩が教えてくれた。


洗い物組


それは、調理を他人に任せ、ひたすら使った器具や実習後の食器を洗い、片付けばかりする


別名、料理拒否又は料理禁止組と呼ばれる存在だった。


ちなみに、俺とサッカー部員三人も、この洗い物組だった。


「希さんの手料理食べたかったな」


高山が本音をもらした。


「え?私も作るわよ」


希先輩の一言に


高山の顔は後光がさす位に眩しく輝いた。


「だから、頑張ってね」


「はい!」


高山のやる気はかなりみなぎっていた。


「ゆ・う・や」


「な、何ですか?」


「楽しみねぇ、合宿。祐也に似合う衣装、ちゃんと持ってきたからね」


津田さんはそう言って、妖しく微笑んだ。

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