《MUMEI》
またケンカ
「そこ違う!∠Aは30°だから、∠Dは150°だろ?それは合ってるけど、なんでここでsin150°をかけてるんだ?……答え出る訳ないじゃん」

「あぁ!?なんでsinじゃない訳!?」

「お前これ高1で習ったんだぜ?あ〜……まさか最初っからやり直しか?」

由自は悔しそうに唇を噛み締めた。

「もういい!!お前に教えてくれなんて頼まない!」

「じゃあお前どうやって勉強するんだよ?」

「ひとりでできる。オレはできる子だから」

「……言ったな?」

素直にできないって言えばいいのに、変な意地張りやがって。

絶対教えてやらねぇ。

「じゃあな。ひとりで頑張れよ」

捨て台詞を残してオレは由自の部屋を出た。








――またくだらないことでケンカしてしまった。

部屋に戻って冷静に考えてみると、本当に馬鹿馬鹿しい。

オレもきつく言い過ぎてしまった。

時間が無いせいか、オレが焦ってついあんなことを言ってしまう。

由自、これでもお前を想ってるんだ。

しかし今さら言い直すのも釈に触る。






………でもすっげえ心配;

逆にオレが落ち着きなくそわそわしてしまう。

自分の課題に集中できない。





こんなことがまた一ヶ月以上続いてしまった。

オレ達もうダメなのかな……。

腐れ縁もここまでか?





――って感じにオレの神経はすり減らされていっていた。

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