《MUMEI》

「酒飲む?あのな、飲みやすい芋焼酎があるんだ。」

よろつきながらも是清はおでんを作り切った。

「……酒は良い思い出が無いな。……今回は何入れた?」

薬盛られては敵わん。







「あのな……嘘だったんだよーん。」

神妙な面持ちで告げられた。
……よーんは、ダサい。

「――――――は?」


「乙矢に何とかして意識して欲しくて……あと、酔いに任せてハッタリかましてしまいました……よーん。」

煮立った大根を口に当ててやった。


「あっつ!
Sだ!乙矢はドSだ!」

是清は悲鳴をあげる。

「是清が悪い。
愛してるって俺に言わせたいなら最初から小細工無しで向かってこい。」

「……意外と素直だよね。」

意外とは余計だ。

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