《MUMEI》 バカップル「僕達、演劇部なんです。あ、お荷物お持ちします」 「え、あ…どうも」 蝶子さんは頭を下げながら、保冷バックを高山に渡した。 中身は、手作りのゼリーだと言う。 俺達は、アイスを買うのをやめて、そのまま体育館に戻った。 「ちょ…蝶子〜!!」 俊彦さんはダッシュで蝶子さんに向かって突進した。 蝶子さんは、目を丸くして、俊彦さんをなだめようとしたが… 結局俊彦さんの腕の中におさまっていた。 「皆、…見てるよ。離して、ね?」 「嫌だ。蝶子がいなくて寂しかったから、離れたくない」 「ほんのちょっと離れただけでしょ?」 「蝶子は寂しくなかったの?」 俊彦さんの言葉に、蝶子さんは赤くなり、うつ向いた。 (これが、世に言うバカップルってやつか…) 俺が妙に感心していると、高山は二人を羨ましそうに見つめていた。 「あ、の…ゼリー、配ってもらえます?」 俊彦さんに抱きしめられたまま、蝶子さんは申し訳無さそうに俺達に頼んだ。 (無意識…か?) その口調や表情はかなり色っぽく、俺ですら少しドキッとしてしまった。 前へ |次へ |
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