《MUMEI》
午後の稽古
蝶子さんが来ると、俊彦さんの指導は激甘になった


「ほら、柊君。そこは違うだろう。仕方ないな。蝶子、協力して?見本見せたいから」


「…また?」


見本も三回目になると、さすがに蝶子さんも首を傾げるようになった。


俺や、様子を見ていた他の連中も、俊彦さんがただ蝶子さんの足に触りたいだけだと気づき始めていた。


「もう、十分です」


とうとう、見かねた相田先生が口を挟んだ。


「じゃあ、蝶子と二人で練習見ててもいい?」


「それは、まだ。『シューズクラブ』以外のシーンでまだ気になる部分あるんで」


相田先生の言葉に、俊彦さんは露骨に嫌な顔をした。

「そんな顔しちゃだめよ」

「は〜い」


蝶子さんの言葉に、俊彦さんはとろけそうな笑顔になる。


(もし、うまくいったら高山と希先輩もこうなるんだろうな)


二人は、この合宿でなかなかいい雰囲気になっていた。


(あっちは微妙だな)


守は、茜先輩と話したいのだが、劇の中で『祐介』と『結子』はあまり絡まないので、進展はほとんど無かった。


(あっちは絶望的だし)


拓磨は今日も津田さんに告白し、振られていた。

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