《MUMEI》 ホーッホッホゥって… どこまでサンタになりきってんだか。 しかし、そんなノリに合わせるのもバーテンダーの大事な仕事というものだ。 僕はその老人の洒落話にとことん付き合うつもりになっていた。 「お疲れさまです、サンタさん。 でも本当に忙しいのはイヴの夜ですよね。 どうぞうちのBARで存分に英気を養って明日にお備えくださいな」 「そうじゃの…。 頑張らにゃいかんのぉ…」 老人はそう言った後、何か思い詰めた表情を見せて、ビアグラスをカウンターに置き、右手でゆっくり髭を撫で始めた。 「どうされました? 随分とお疲れのように見えますが…」 前へ |次へ |
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