《MUMEI》

「うむ…。元気なつもりでおっても歳には勝てん…。
わしはもう300歳を越えてしもうた。
普通ならこの仕事は250歳で引退するものなんじゃが、日本を担当してからというものこの国の子供達の笑顔を心底好きになってしもうてのぉ…。
じゃから引退もせず、この老体に鞭打ってずっと今まで頑張って来たんじゃ。
しかしもう限界が来たのかもしれん。
ひょっとしたら今年は子供達全員のところを廻りきれんのじゃないかと少し弱気になってしもうてのぉ…」


「そうだったんですか…」


不思議な気持ちだった。
ただの洒落の筈なのにその時の僕には老人の話が現実の事にしか思えなくなっていた。

何とかしてサンタクロースを勇気づけなければ…

そして、今の彼に最も相応しいカクテルの姿が僕の頭の中に浮かんだ。

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