《MUMEI》

「……二郎君ごめんね?」

「いいえ、そんな……。」

北条さんに謝られた。


「じゃ、しゅーちゃん。有難うな。」

自然にお開きな流れだ。

「ええ、帰っちゃうの?二人共泊まればいいのにぃ」

「明日も学校なんでしょう、明らかに迷惑です。」

神部母、遊びたくてウズウズしている北条さんを一刀両断した。

「また行くし」

七生が慰めるなんて珍しい光景だ。

「ねぇ、二郎君もまた来てくれる?今度は母さんが居ない時に呼ぶから、ね?」

七生に似た犬みたいだ。
ただ、七生よりもお上品な犬っぽい。

「……はい。」

そうか、七生の事を知っているのは俺だもんな。
埋められない時間の掛橋に俺が成れればいい。




「暫くは無理かもー、テスト近いから」

「七生……」

もうちょっと空気を読むべきだ。

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