《MUMEI》 花火と浴衣「おっそ〜い!祐也!祐も!」 「悪い!」 祐先輩は走って、津田さんの方に向かった。 「つーか、何で、女子、浴衣?」 「そこは『やった、ラッキー』って喜んでよ!」 首を傾げる俺に、津田さんは不満を訴えた。 「すみません」 周りの男子を見ると、確かに浴衣の女子を見て喜んでいたから、俺は慌てて頭を下げた。 「祐也は浴衣嫌いなの?」 「いえ…綺麗だと思いますよ」 俺が戸惑ったのは、俺の周りに浴衣を着る人間がいなかったからだった。 (旦那様も忍も洋装ばかりだったからな) だから、俺は今日初めて生で浴衣を来た人間を見た事になる。 「それって浴衣だけ?」 「いえ、着てる人間も」 それは、正直な感想だった。 浴衣を着た女子達は、髪型もこっていたし、雰囲気も大人びて見えて、綺麗だと思った。 「…それならいいわ」 津田さんは、満足そうに微笑んだ。 「来年は祐也も着てね。それで…また、一緒に花火やってね」 「それは…」 ドンッ 「お〜、市販でも結構派手だな!」 まるで俺の返事をかきけすように、祐先輩は次々と打ち上げ花火に点火していった。 前へ |次へ |
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