《MUMEI》

「…来てたのか。」


「…うん。」


クロの隣に、


美紀は座った。


「…」


「とりあえずこうしとけば、


誰か来てもいちゃついてるように見えるんじゃない?」


「…」


「…痛いんでしょ?肩。」


「…何で?」


「わかるよそれくらい…」


「…」


「ヤマトくんたちに心配かけないように平気なフリしてさ、


相手のチームの人にも責任感じさせないようにシュート打ったんでしょ。」


「…」


「普段はちょっとしたことで痛い痛いってわめくのに、


こういう時だけカッコつけてさ…。」


「…そんなことないよ。」


「そんなことあるよ。」



「…」



「…無理しないで休んだら?」



「…ここで退くわけにはいかないよ。」



「…何でそうやって無理するの?」



「それは…


僕が男の子だからかな。」



「…それってずるい答えだね。」



「そう?」



「そうだよ。ずるい。」



「…男の子はさ、


頼られるのが大好きなんだよ。


学校に車で行った時、乗せてって〜とか言われたり、


女の子の荷物持ってあげたり、


とにかく頼られるのが大好き。


僕もそう。


そして今僕のこと頼ってくれる人たちがいる。


だから僕は、それに応えたい。」



「…そんなこと言われたら止めれないじゃん。」



「…ありがとな。」



クロは立ち上がり、


コートに向かおうとした。


「小太郎!!」


「?」


「頑張って!!」


そういうと美紀は、


クロにキスをした。


「…さんきゅ。」





「クロ!!遅い!!


始まるぞ!!」


「悪い悪い!!今行く!!」


「ピー!!」


そして後半が…


始まる。

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