《MUMEI》 楠文博、三十一歳既婚、古典教師の俺は何故生徒達に紛れて騎馬に参加しているのだろうか? 何故、上に乗る渡部志雄は混戦している塊に誘導してくれるのか? 敵の白組の中で、歩くと十戒の海が割れるように人が割れる先に見えたのは幻ではないのか? 先程から膝がガクガクしているが膝に水が溜まっているのではなかろうか? 「……楠、逃げたな」 髪を鷲掴まえられ、教師に向かってきく口調ではないが、それ以上に上から見下ろす渡部の迫力は凄まじい。 「攻めあるのみですね!」 いつの間にか敬語になり、言われるがままに人込みに突っ込む。 渡部は騎馬の才能を備えていたようで異常な俊敏さで鉢巻きをひったくる。 俺は打たれ潰され限界を感じた。 肩が軋む。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |