《MUMEI》 「荒井純…?」 みづきは不審に思った。 てっきり荒井病院というところに夢山滝がいるとばかり思っていたからだ。 「君、滝に会いに来たんだろう?」 「どうしてそれを知っているんです?」 純は部屋の鍵をみづきに渡した。 「これは?」 「滝の事務所の鍵さ。俺達メンバーはいつ緊急になってもいいように鍵を渡されてるのさ」 メンバーになる事も分かっているらしい。 「どうして会いたいと分かったんです?」 「君の上司から連絡が入ってね…能力者だっていうんで、親玉を会わせようと考えたんだな」 親玉とは…夢山滝の事。 「場所…教えてくれます?」 一方、上司はというと… 「あーもしもし」 滝に電話をしていた。 「うん、こちらから来る事になってるから。厄介な奴がまた入るが許してやってくれ」 電話を置き、カーテンを開ける。 「新野みづき…上手くいくといいが…」 「滝さんは…」 みづきは滝の事務所に着いたらしい。 「よう、あんたがみづきかい?」 「滝さん…ですか?」 ドアから出てきたのはスーツ姿の滝だった。 「いやぁ、情報班が来てくれるなんて助かるよ!」 「私の力でチームが崩れても知りませんよ」 滝は一瞬青ざめた。 「ハハハ…!そんな…ゆっくりでいいんだ」 「はい…」 馬鹿な人。なんで自分の事を知らないんだろう。みづきは滝を国王だと自覚させようとした。 「あなた…国王っていう自覚がないの?私の上司は言ってたわよ、前世が国王だって…」 「あのさ、玄関で立ち話もなんだから中に入ろうや」 二人は部屋に入った。 まだ啓助が滝の家に居る頃である。 「あれ?その人…もしかして、彼女?」 二人は転けた。 「んなわけないだろうが!!今度の新人だよ!」 「よ、よろしくお願いします」 「あいよー、よろしくな」 啓助は空気を読んだのか、2階へ上がった。 「男性の家に上がるのは初めてです…」 「そうかい?能力者が時々俺の部屋に来るけど、結構安心して行くんだ」 滝は苦笑いをした。ダイニングへ案内する。 「では、本題に入ろうか」 前へ |次へ |
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