貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》最初の少女(プロローグ)
少女は笑ってこう言った。
「羊さん羊さん、ごめんなさいね」
赤いスカートを指でちょっと摘んで翻す。白く細い足がチラリと見えて影に消えた。
あの日から、羊は羊と名乗ったのだ。
意味は無い。羊と呼ばれる事に忌みを感じただけの、
「でも貴方は」
そう、自分は
「皇子」
まだ名は無い。
いつも笑っている少女が泣いているようにみえたのは、影に忌みた考えが払拭しきれなかったからだろうか。
夜中の街角、電灯の切れたビルから覗く三日月が、赤い。
夜中に詩を歌った羊は、罰など逃れられず。
笑った少女は白い首をしならせて只、
只、
「泣きたかったの?」
「笑いたかったの?」
対極にある筈の瞳が、何故か一番近くに見えた。
夜の蓋は未だにパーツの侭、私と白鷺の呼び声が聞こえるのに。
忌み綴りをこじらせては笑いなく。
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