《MUMEI》
マタニティ☆ブルー
「俺妊娠したかもしんない…」



「へへ、マジで?生理全然来ないんだ?」


「――あのね、俺は男だから生理はないの!」




人が真剣に言ってるのに裕斗はすぐ茶化す。
父親になるかもしれない隆志に言うより先にきりだしているのに全くもう…



「―――うぷ!」



また急に吐き気がきた。
俺は慌ててキッチンに行き水を出す。




今日は食べてないから胃液しか出ない。



ゼイゼイ吐いてたら裕斗が背中を擦ってきた。


「おい、大丈夫か?」



「も…辛い、はあ、はあ、でも…頑張る」



「――――惇…」




「俺、赤ちゃん頑張って産む」





裕斗は俺の顔を見ながら目尻に涙を浮かべだした。



だんだん頬も赤く染まり何故か口元がヒクヒクしている。







「ほら、これ読んどけ」


いきなりマンション出て行ったと思ったら何やら雑誌を買ってきた裕斗。



表紙みたら





〔タマゴ倶楽部〕…




「有り難う、ちょっと欲しかったんだ」
「まあ良くわかんないけど始めは不安だろうしな」



「不安だよ、…、
ね、裕斗も伊藤さんの赤ちゃん早く出来るとイイね」




「―――ひ…いや、
俺は…――――」





裕斗は俺に背中を向け何故か震えだした。




もしかして聞いちゃいけない事だったのかも……。

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