《MUMEI》 「君は…国王の事、どうして知っているんだ?」滝は棚からコーヒーカップを出した。 「思い出したんです。私たちはかつてあなたを守っていた事」 上司に言われる前に一度、夢を見たらしい。 「じゃあ…他の奴らもそうなのかな?」 「え?」 「智嬉や純も」 滝はきっとまだ信信じていないのだろう。いや、信じたくないのだ。そんな現実の世界とは全くかけ離れた事なんて。 「あなたは…カルテーニに言われた事ない?」 「そう言えば前に戦った時に国王がどうとか言ってたな」 コーヒーを淹れ終わったのか、みづきにカップを差し出した。 「ふーん…。普段は全然関係無く過ごしているけどな」 「ありがとう。そうね…まだ信じてもらえないでしょうけど、これが事実よ」 国王だと分かってもらえないと、またカルテーニに襲われる。みづきは恐怖に落とし入れるしかないと思った。 「そのうち、あなたを倒す宿敵がまた増えるかもしれない。それでもいいなら」 「俺は十分覚悟は出来ている」 滝はみづきを立たせ、抱きしめた。 「大丈夫…!仲間に心配はさせない!」 (こういう性格だから心配するんじゃない) 「分かった!もう離して!」 みづきは勢いよく滝を突き離した。 「ハァ…ハァ…分かった!?これがあなたの本性よ」 「あぁ。つまり、前世は国王だったといいたいんだろ?」 「えぇ…分かればいいの」 滝は、絶対カルテーニを倒すとこの時誓い、いつか戦いを終わらせると決心したのだった。 「また…会える?」 再び玄関で二人は話していた。 「あぁ、いつかな」 「でもそう遠くはないかもしれない…カルテーニは…憎しみから生まれた戦士だもの」 滝は腕組みをする。 「辛気臭い話しだなぁ…」 その時、みづきは小声で話しかけた。 「大丈夫、あなたはきっと上手くいくわ」 滝だって戦闘を決して恐れていない訳ではない。 「平和が…続くといいのに」 前へ |次へ |
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