《MUMEI》
よくある誤解
ガタンッ


「「?」」


俺と希先輩は同時に音のする方に注目した。


(ゲッ)


「柊君…」


そこにいたのは、高山だった。


誰もいない合宿所に、俺と希先輩は二人きりでいた。

会話の内容が内容だけに、最初の一言以外は小声で、おそらく高山には聞こえていない。


真っ赤になって頷く希先輩の姿は…


「そ、そうだったのか。俺、知らなくて…ごめん!
お邪魔しました!」


乙女キングの誤解を招く結果になった。


「ちょっと待て!」

「違うの、柊君」


俺と希先輩の言葉は全く高山の耳には届いていなかった。


(あぁ、もう!全部あいつのせいだ)


俺は心の中で祐を呪った。

(先輩なんか付ける価値無し!
にしても、早すぎるぞ、高山!)


運動神経抜群のキングに追い付くのは、至難の業に思えたが…


(あ、…コケた)


やはり、高山はヘタレだった。


「ひ…との話を聞けよな」

俺は涙目の高山を、希先輩の元へ連行した。


(とっとと告白すればいいのに)


俺と違って普通の恋愛ができるのに。


好きな人が近くにいるのに。


俺はため息をつきながら、二人を見守っていた。

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