《MUMEI》

「俺、別れたのに……」

うなだれている。


「頼んでない。幸せになれって言ったろ?」

徳和が俺の告白をかわし続けたのに。




「謝ればいいのか?」

今更、許しを乞うてきた。

「……まあ、俺に散々思わせ振りな態度を取ったり、抱いておきながら婚約したり、一緒に企業しておいて自分だけ別の会社に再就職した後社員に俺がゲイだって勝手にカミングアウトして社員を引き抜こうとしたことはちょっとムカついてたよ?」

……口に出すと余計に腹立つ。




「……怖かったんだ。離れなければと、抱けば是清の気持ちに踏ん切りが付いて割り切れると思った。
けど、そういうのは俺の方が駄目だった。

俺が打算的に生きていた中でお前は高校の時のまま正直だった、不変の純粋さで俺が汚れていたと思い知らされる。

忘れようとすればするほど思い出してしまう、俺は普通だったのに俺を貶る。俺をこんなにしたお前が憎くなった。」

徳和はエリート意識や上昇志向の塊だった。
だから、『不適切』な感情を排除したかったのか。


「……俺が普通の人と違うって気付いて上手く人と話せなかった時、話し掛けて友達になってくれたのはお前だったよ。」

高校時代、徳和は俺にとって全てだった。

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