《MUMEI》

「…おい。」


「何だよ?」


「試したいことがある。」


「…?」


聖龍ボール。


クロは堀内に付く。


しかし、


山城は構わず堀内にパスを出した。


(…!!)


クロは、


そのパスが明らかに自分の届く位置に来たことに気付く。


(…くそ!!)


右手が出ない…


クロは無理矢理左手を出すが…


届かなかった。


「リターン!!」


「詰めろ!!」


山城が突破。


そしてシュート。


「ナイッシュー!!」


13対12。


このプレーで…


選手たち、


観客たち、


全ての者が気付く。


『クロの手は上がらない。』


「…やっぱりか。


あの落ち方して無事なわけがない。」


ディフェンスに戻る山城。


(まだ7分…。


もうバレたか…


もう少し粘りたかったんだけどな…)


動く海南ベンチ。


「クロ!!戻れ!!交代だ!!」


ベンチからそう聞こえる。


クロは…


オフェンスに向かう。


「悪い悪い!!返していこ〜!!」


「クロ!!」


クロはベンチの声を無視し、


コートから出ようとしなかった。


「クロ!!交代だ!!」


ボールを持った翔太が、


センターラインから動かない。


そしてベンチを見た。


(プレー中だぞ!?)


恭介もその様子を見る。


翔太はベンチに向かって話す。


「やめろ…


クロさんのプライドが傷つくだろ。」

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