《MUMEI》

「何言ってんだ!!


肩のケガだぞ!?」


ベンチの言葉を無視し、


翔太はプレーへ移る。


(…やっぱそう来たか。)


クロの腕が上がらない。


そう気付いた聖龍クラブは、


ヤマトにマンツーを付けて来た。


左サイドクロ。


左45ヤマト。


2人が動けなくなれば、


攻めるスペースは半分に制限される。


(…舐めんなよ?)


翔太は1対1仕掛け、


右手にボールを持ったまま手を後ろへ…


(背面パスで左45に出すつもりか…!!)


ディフェンスが左側に寄る。


「ガンッ!!」


右手から背面パスをしたはずのボール。


ヤマトに行くはずのボール。


そのボールは何故か…


投げた方向とは逆に飛んだ。


(何で!?)


ボールは右45へ。


左に寄っていたディフェンスとは逆に飛んだパス。


右45が甘くなったディフェンスを突破し、


シュートを決める。


「ナイッシュー!!」


14対12。





「とんでもないプレーするヤツがいるな…」


「今のプレー?」


「あぁ。」


「わかったの!?


何が起こったか!?」


「あぁ。」

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