《MUMEI》
全開走行
展望台でUターンし、コースに入ろうとすると、後ろには3台が付いていた。

(腕が上がったか試してみるか…)

タイヤを慣らす為にラインをフルに使いながら下って行くと、ぴったりと着いてくる。

(この位、着いて来て当たり前だ!)

退避所でUターンして、
(少しペースを上げるぞ!
着いて来いよ…)

徐々にペースを上げて行くが、着いて来ている。

(少しは速くなった様だな(笑))

俺は、やや本気で下って行くと膝からガリガリと感触が伝わる。

今回はパット付きのパンツなので、目一杯攻め切れる。

俺は、久しぶりにこの峠を全開で攻めた。

もちろん単独でだ。

退避所でUターンし、出口に止まると、あいつが下って来た。

(フッ、まだまだだな(笑))

俺は、右手で前を走る様促した。

あいつはコクリと頷き、ゆっくりと横を通り過ぎる。

俺は、顔を見られない様に俯き、通り過ぎるのを待った。

あいつは前に出ると、後ろを振り返った。

俺は、右手でコースを指差すと、あいつはコクリと頷きコースに飛び出した。

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