《MUMEI》 「最上階なんだな……」 昭一郎が窓からミニチュアのような地上を見下ろす。 崩れたら即死の高層マンション最上階に住居を構えている。 「……簡潔に馬鹿な事を言う理由を言うんだ。」 驚いた。 5年近く音沙汰無かったのに、突然俺の前に現れたのだから。 「……お前の老いを笑いに来た。」 確かに昭一郎よりは老けた。 俺の身長は突然170から177に伸びたのだ。 三十路になれば白髪も多少あるし、髭も生やす。 体も鍛えたから、逞しくなった筈だ。 「……痩せた」 一瞬、見ただけで分かる。 昭一郎がどんな人生を歩んだか知らないが、昔の印象よりは弱々しい。 前へ |次へ |
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