《MUMEI》

「お早うだぽ!」


…朝から元気だね。


くまくんは、張り切ってる。


「はいはい、少し待っててね。旦那さまを、会社に 送り出すからね。少し大人しくしててね。」


そう、私は結婚したのだ。いくら理解のある夫だって、妻が、朝からくまのぬいぐるみに、話かけていたら、精神状態を心配するだろう…


可愛いな、こいつぅ〜なんて、年齢はとっくに超えているのだから(笑)


寝惚け眼の、夫を起こし、朝食を食べさせる。


「調子はどう?」
夫は聞く。


「うん、平気。」
私は答える。


「なんかあったら、電話すんだぞ。」


「うん、わかってるって…」


「じゃ、行ってくる。」


夫は、玄関先で私を抱き寄せ、キスをした。

「いってらっしゃい。」
私は手を振った。

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