《MUMEI》 問題の二人その二人は、幼なじみなだけあって、親しげに見えた。 …普通に、恋人同士に見えるその男女は、実は同じ恋人(男)を共有?している。 狭い店内を落ち着きなく徘徊した後、二人はレジにやってきた。 元々買い物目的では無かったらしく、二人はガムを一つ購入した。 「105円です」 「そのままでいいです」 普通の会話の中に、緊張と…最近拓磨が俺に向けるのと同じ視線を 店のテープが貼られたガムをバックにしまう安藤先輩から感じた。 後ろにいる葛西先輩は、それほど感情的ではなく、どちらかというと、安藤先輩の保護者的印象を受けた。 「ありがとうご…」 「バイト、いつ終わるの?」 安藤先輩は、俺を睨みつけた。 (これは、…やっぱり、そうなのか?) 俺は、葛西先輩を見つめた。 「祐が、喋ったんだ」 隣に店長がいるのを考慮して、葛西先輩はそれだけ言った。 「いいから、いつ終わるの?」 そして、もう一度 拓磨と同じ、嫉妬という感情をあらわにしている安藤先輩は、俺に質問した。 修羅場を覚悟した俺は、二人にアパートの部屋の合鍵を手渡し、先に部屋で待つよう頼んだ。 前へ |次へ |
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