《MUMEI》
プロローグ
ざっざっざ
しんと静まりかえった警察署に足音が響く。自分の足音だと分かっていても、音のない空間ではそれさえも恐怖に感じられた。
「…………」
長い廊下。玄関からここまで一度もヤツラにでくわしてない。
(ここは安全なのか……?)
右手に持ったハンドガンを握りしめ薄暗い廊下を歩き続ける。建物の外からはヤツラのうめき声が途切れることなく聞こえ、俺の周りの空気を澱ませた。
『署長室』
廊下の突き当たりにはそう書かれたプレートがさがっている部屋があった。ドアノブに手をかけゆっくりと回す。
どん!
「!!」
ドアを開けた瞬間、何者かに突き飛ばされる。不意を突かれた俺は無様に尻餅をついてしまった。
「…くっ!」
そして恐る恐る視線を上げたそこには…
「イッターイ! どこ見て歩いてんのよ!!」
…トーストをくわえた女の子がいた。
……………
…………
………
……
…
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