《MUMEI》
夢叶う。【完】
1ヶ月後…


俺はメンバー全員に小包を送った…。


揃いの衣裳を入れ、時間と場所を指定した。


“本当にみんな俺との約束を守ってくれているだろうか?”


青木は
そこそこイケメンに…


黄村は
カレーを食べ続け…


緑川は
ダサく地味に…


桃井は
…こいつは大丈夫か。


とにかく指定の日時に、みんなが集まってくれることだけを祈った…。


やっと…
俺の長年の夢が叶う。


翌日…


俺は、とある小さな写真館でメンバーが揃うのを待っていた…。


……キー…バタンッ!


扉が開く音が聞こえた。


俺は、ゆっくりと振り返った…。


『…お…お前ら……。』


言葉が出なかった…。


何故ならメンバー4人、全員が揃いの衣裳を着て、立っていたからだ。


しかも、俺との約束を完璧に守った姿で…。


(青木)
『どうだ俺?髪切って、コンタクトにしたぞ!』


(黄村)
『俺、カレー臭いか?
6キロも太ったんだぜ!』


(緑川)
『俺は、人生初の“えなりスタイル”だ!』


(桃井)
『私は、する事無いから一応、免許証持ってきたわ。ほらっ“桃井”でしょ?』


みんな俺の送った“戦隊モノ”の衣裳を着て微笑んでいた!!


(青木)
『……で?赤石!!
この衣裳とメンバー…
写真館とくれば、大体想像はつくが、お前の夢ってなんなんだ?』


俺は、感激のあまり声が震えた…。


『…み…みんな
…本当にありがとう。
…俺の…俺の夢は……
…リアルゴレンジャー。』


メンバーは、しばらくの沈黙の後、互いの顔を見合わせ……大爆笑した!!


そして声を揃えて言った…
『くだらねぇー(笑)!!』


その後、俺は一人一人に、最後の仕上げのマスクを手渡しした。


(俺)
『青レンジャー!!』

(青木)『よっしゃ!!』

(俺)
『黄レンジャー!!』

(黄村)『ガッテン!!』

(俺)
『緑レンジャー!!』

(緑川)『行くぜっ!!』

(俺)
『桃レンジャー!!』

(桃井)『任せて!!』


みんなのノリはサイコーだった…。


俺は、最後に自分のマスクを装着し叫んだ!!


『みんな行くぞっ!!』


そして…みんな決めポーズで写真を撮った。


パシャッ!パシャッ!


…俺の夢は叶った。


リアルゴレンジャー…。


俺は、写真を撮られながらフルフェイスのマスクの中で泣いた…。


幼稚園児の頃…
このメンバーと出会ってから、ずっと夢見てた。


これが本当の…
ゴレンジャーだ!!!


俺の興奮がMAXに達した時、青木がボソッと呟いた…。


『…これ
…フルフェイスだから、リアルゴレンジャーって伝わらなくねぇ?
…顔はもちろんだけど
髪型やコンタクトとかマジ関係なくねぇか?』


『…うっ……確かに。』


【おわり】

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