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《MUMEI》 ◇◆◇ 「私に‥？」 はい、と神夜は頷く。 「今直ぐにとは言わないわ。いつか‥もし貴女が承諾する気になったらでいいの」 夜桜は暫し沈黙し、その後黒い瞳を神夜に向けた。 「分かりました」 それは、決意に満ちたような声音であった。 「神夜姫様」 廊下の向こうから女房がやって来る。 （まずい‥） 足音が近付いて来る。 竹千代が此処にいる事、それは絶対に知られてはならない。 「っ‥！？」 途端、視界が靄に閉ざされるような感覚がし、若君は目を円くする。 程なくして女房が尋ねて来たが、竹千代の姿にはまるで気付いていないらしい。 言伝を告げると、女房はそのまま引き返して行った。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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