《MUMEI》 夏休み最終日の訪問者八月三十一日。 夏休み最後の日。 (絶対早く来るよな…) 俺は、宿題がほとんど残っていると言っていた守を警戒して、朝五時に起床した。 しかし、予想に反して、守は普通に、十時に俺の玄関のチャイムを鳴らした。 「よっ!」 「こんにちは」 「…よぅ」 扉を開けると、三人いた。 守以外は予想外だったので、俺は固まっていた。 「拓磨もさ、ほとんどやってないって言うから」 それは、予想できた。 しかし、嫌われたと思っていたから来ないと思っていた。 「…で」 俺は、絶対に宿題を終わらせていそうな 笑顔の津田さんを見つめた。 「数学、どうしてもわからないところがあって。 それに、休み明け復習テストもあるし」 (テスト勉強なんか必要ないんじゃ…) 「いいから、入れてくれよ」 拓磨が俺を睨んだ。 「お邪魔しま〜す」 守は俺が許可する前に、玄関でスニーカーを脱いでいた。 「おい、聞いてないぞ」 俺は守に小声で抗議した。 「拓磨は元々誘ってあったけど、津田さんは偶然だよ。 お、準備いいじゃん」 守はテーブルに置いてある俺のノートを写し始めた。 前へ |次へ |
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