《MUMEI》

「だな、ごめん、惇ちゃん…ヒヒヒ…、フフッ…、ダメ…やっぱり…フフッ」


「?裕斗??」




隆志は不思議そうに裕斗を見ている。



「あのね〜、なんなの一体!俺これから真面目に将来の話しなきゃなんねーのに失礼な奴だなあ!
な〜悪いけど帰って?病院付き添ってくれたのは感謝してるけど今の裕斗の態度めっちゃムカつくんだけど」


「ええ?病院??将来??ええ?惇??」




俺の顔をびっくりして見てきた隆志に向かって俺は力強く頷いた。




隆志はそれに反応してスッと真剣に俺を見つめだした。



「何?――惇…」



俺の両手をギュッと握り込みながら真剣な面持ちで尋ねてくる隆志。




俺も深く深呼吸して隆志を改めて見据える。





――隆志も父親か…





父親…





カッコイイ父親…。





俺も母親に……





「パパ…」

「ぶっ!!」

「ぱ…、へ??」

「ゆ、ゆ〜と!早く消えろ!!」



思わずパパって言っちゃってめっちゃ恥ずかしい!顔が全身が汗で熱くなった!!


「ひ…、ヒィ、か、帰りたくなひ…」

「帰れ!」


「わ、分かったよ〜、もう怒るのは胎児に良い影響ないからなあ?」



「た、たいじ??――――は?」






裕斗は何故か猫背で出て行った。




何度も何度も、涙目で振り返りながら…。

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