《MUMEI》
二度目の修羅場
「じゃあ、三人は三角関係? 拓磨は津田さんが好きで、津田さんは祐也が好きで、…祐也は?」


守の発言に、皆の視線が俺に集中した。


(守…改めて言うなよ)


守は明るく単純だが、無神経な所があった。


俺の答えは既に決まっていた。


しかし、文化祭を考えると、この場では答えは言えなかった。


「今、考え中。来月には、ちゃんと答えるから」


「迷ってるんだ?」


(普通はそう思うよな)


守の言葉に、俺は頷く事にした。


「いい加減な答えは許さないからな」


「わかってるよ」


俺は、いい加減な答えをするつもりは無かった。


拓磨は俺から視線をそらし、津田さんを見つめた。


「俺は、諦めませんから。見た目だけじゃなくて、ちゃんと、中身も好きですから」


「…信用できない」


津田さんは拓磨に冷たく言った。


拓磨が津田さんに一目惚れしたという話は有名だった。


そして、津田さんは自分の見た目だけで言い寄ってくる男には容赦なかった。


それでも諦めなかったのは、拓磨だけだった。


「信用してもらえるまで、何度でも告白しますから」

そう言った拓磨は、真剣そのものだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫