《MUMEI》
ことの始まり。
『お願い!!
誰かお金のいいバイト紹介して〜(涙)!!』


私の名前は、橘 璃久
(たちばな りく)18歳。


Fカップ女子高生として、今まで、モテモテ人生を歩んできた。


なのに今は…
この私がバイト探し…。


何故かというと…
それは数日前の出来事が原因である。


─数日前─


『璃久!お前どういうつもりだよ!?』


『…何?…何のこと?』


『とぼけんじゃねーよ!
てめぇーっ!
3股かけてるだろう!俺以外にもA組とB組に付き合ってる奴がいるはずだ!』


『………(バレた)。』


はぁ〜。その噂は学校中に広まり、私は一部の友達以外の生徒全員から、シカトされることになった…。


サイテー…。…でも。


“ふんっ!何よっ!
私には、大本命のユウ君がいるからいいもーん!”


なんて思って、全然気にしていなかった。


なのに…
5歳年上だったユウ君は突然私の前から姿を消した。最低なお土産を残して…。


『…100万円!?』


そう…ユウ君は私に100万円の借金を背負わせて、逃げていった…。


“私に払えるはずがない”
…母親に相談しようと思ったけど何て言えばいいの?
…母子家庭なのに、無理して私立校に通わせてくれたママに迷惑かけられない。

“自分で何とかしなくちゃ!!”


…という事で今、必死になってバイトを探している。


『え〜!?
急に、お金のいいバイトって言われてもないよ!』


『そんなこと言わずにお願い!!何か紹介して!』


『ん〜そうだな…。
璃久なら顔もスタイルいいんだし、キャバクラとかいけるんじゃない?』


『ダメ!!
そんなの学校にバレたら退学になっちゃうじゃん。』


『じゃ〜無理だよ。』


『…そっか。
ありがとう。他探すわ。』


“はぁ〜”


私は、学校の屋上で途方に暮れた…。


“どうしよう…。”


『橘 璃久!!』


聞き覚えのない男の声に振り向くと、私の前に…
あの“坂城 渉”(さかき わたる)が立っていた…。


…全てはここから始まったのだった……。

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