《MUMEI》

「やった〜!!!」


「俺たち最高〜!!」


「お前ら最高〜!!」


「イェ〜!!!」


試合が終わった後も…


海南クラブはコートを去ろうとはしなかった。


「ね〜!!クロ!!恭介〜!!」


観客席から、クラスメートが呼ぶ。


「なにした〜?」


「オメデト〜!!!」


「お〜!!ありがと〜!!」


「あのさ〜?」


「なに〜?」


「写真撮ってあげよっか〜?」


「お〜!!いいね!!」


デジカメを持って、クラスメートの1人が観客席からコートへ向かう。


「何してんのだよ。」


恭介が観客席に向かい言う。


「皆で撮ろうぜ!!」


赤高の選手たち、


クロと恭介のクラスメートが、


コートへ降りる。


その辺の体育館の係員を捕まえ、


デジカメを渡した。


バックにはゴール。


海南の選手たち。


赤高の選手たち。


そしてクロと恭介のクラスメートたち。


「撮りますよ〜。」


「あぁ〜!!ちょっと待ってください!!」


「何だよクロ〜!!」


「ごめん!!後1人だけ!!」


「…呼んでこいよ。」


ヤマトが言う。


「…うん。」


コートから、観客席へ叫ぶクロ。


「美紀〜!!降りて来〜い!!」


「え!?あたしも!?」


「早くしろ〜!!み〜んな待ってっから!!」


「…うん!!」


…翌日。


新聞にクロたちが載った。


皆で撮った写真が使われることはなかったが、


2部リーグ海南クラブが王者聖龍クラブに勝ちったことは、


小さなニュースになっていた。

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