《MUMEI》

「―――背中?」


「うん、触って?」



隆志に抱きついてお願いすると大きな手で撫でくり始めた。

ついでに頭も撫でてくる。



「分かった?」




「え?え?」




「なんか違うでしょ」


「―――――」




すると隆志は俺をぐいっと抱き寄せ、俺の髪にクンクン鼻を寄せたり、顎を持ち上げたりして首筋をクンクン嗅いだ。



「ちょっと!擽ったいよ〜」

「―――…」


「わっ!!」



グインと万歳させられてTシャツを一気に脱がされた。


そしてくりんと躰の向きを変えさせられ背中を指先で辿られだす。




「…いつもの背中だよな〜、――つかそれにしても細い…、ヤベ…
抱きたくなる…」



「…ちょっと…、分かんない?」



「…ごめん、降参、いつもの惇にしか感じない、病気じゃないなら一体なんなの?」



「うん…」


俺はバッグを持ってきて中から診察券を出して隆志に渡した。



「――小児…産婦人科?…、―――ああ、まだ未成年だから小児科なのか」



「ちょっと!ふざけんなよ、産婦人科に決まってんだろ〜が!」


「は?産婦人科の方がふざけて……――――――あ……、これ…産婦人科に丸ついてる…」



「もう!男はこれだから」




俺は隆志から診察券を奪い大切にバッグに戻す。



「オマエも男なんじゃ…――なあ、なんか良く分かんないんだけど」



「は〜…もう鈍すぎ…、ほら、これでどう?」




今度はエコーの写真を隆志に渡す。


すると黙ってじっと見だした。



「…そうゆう訳だから……」



もうめっちゃ恥ずかし〜!俺はテーブルからグラスを取りごくごく飲む。



「う゛!ぷ!」



瞬間吐き気がきた!


慌ててキッチンに駆け込むと今飲んだお茶が全部吐き出される。



ゼイゼイしてると隆志が背中を撫でてくれだした。


「大丈夫か?」



「う…うん、耐えるから…、俺耐えるから…」



「やっぱり惇もあたったのか?―――裕斗のクリームコロッケ…」




「―――――へ?」




「俺も今朝まで吐きまくっててさ…、昨日なんか点滴?惇に心配かけたくなくて黙ってたけど腕にジンマシンまででて大変だった…」



「―――――」



「ごめんな?俺惇もあたったんじゃないかって心配だったんだけど俺も口きけない位酷かったから…」

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