《MUMEI》 二学期開始「おはよう、久しぶり」 「久しぶり〜」 一ヶ月以上会っていない同級生達も結構いるから、教室内には、そんな挨拶が普通に飛び交っていた。 「祐也、久しぶり」 「…昨日会いましたよ」 「ちょっとでも会えないと、寂しいから」 「…」 俺は無言で自分の席に着いた。 (参ったな…) 津田さんと俺のやりとりは、当たり前のように注目された。 …しかも。 「お〜い、祐也!ちゃんと昼飯食ってるか!?」 昼休みに、葛西先輩を連れた祐はやって来るし。 「何で祐がそんな心配するの?」 「そりゃ、祐也が好きだから」 (げっ!) 津田さんの質問に祐があっさり答えたから、俺は慌てた。 「お気に入りの後輩って事?」 (…あれ?) 津田さんの反応は普通だった。 (もしかして、知らないのか?) 「そう。…スッゴク気に入ってる」 「ふ〜ん」 (やっぱり) 祐の性癖を、津田さんは本当に知らないらしく、津田さんは祐をライバルとは思っていなかった。 「志貴は料理ダメだしな」 祐の言葉に津田さんはカッと赤くなった。 そして、祐は俺に特製ドリンクの入ったペットボトルを渡した。 前へ |次へ |
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