《MUMEI》 教室で(これは、うまいんだよな) 俺は、ゼリー飲料ではなく祐の特製ドリンクを飲んでいた。 カリスマ性は無いが、祐はそれなりに、男女共に人気がある。 現に、祐が現れた時、教室中が煩くなった。 ついでに、本人には全く自覚はないが、葛西先輩は大人っぽくてかっこいいと、下級生に大人気だ。 「いつの間に祐先輩と仲良くなったんだ?」 「…別に、なったつもりはない」 二人が去った後、守から質問され、俺は無愛想に答えた。 「合宿で気に入られたのかもしれないな」 真司が冷静に分析した。 「…いっそ、ホモになっちまえ」 すれ違いざま、拓磨がボソッと呟いた。 「何だ?あいつ」 「拓磨と祐也はライバルだから」 首を傾げる真司に、守が説明した。 「そうなのか?」 「ノーコメント」 俺の答えに真司は納得しなかったが、彼女の瀬川さんに呼ばれて、渋々席を外した。 「あ〜あ、俺も彼女作りたかったなぁ」 守は、本当に羨ましそうにいつまでも去っていった真司を見つめていた。 守が告白も出来ずにいるうちに、茜先輩は、同じ部で、同じクラスの『春樹』役の男と付き合い始めてしまったようだった。 前へ |次へ |
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