《MUMEI》
教室で
(これは、うまいんだよな)

俺は、ゼリー飲料ではなく祐の特製ドリンクを飲んでいた。


カリスマ性は無いが、祐はそれなりに、男女共に人気がある。


現に、祐が現れた時、教室中が煩くなった。


ついでに、本人には全く自覚はないが、葛西先輩は大人っぽくてかっこいいと、下級生に大人気だ。


「いつの間に祐先輩と仲良くなったんだ?」


「…別に、なったつもりはない」


二人が去った後、守から質問され、俺は無愛想に答えた。


「合宿で気に入られたのかもしれないな」


真司が冷静に分析した。


「…いっそ、ホモになっちまえ」


すれ違いざま、拓磨がボソッと呟いた。


「何だ?あいつ」

「拓磨と祐也はライバルだから」


首を傾げる真司に、守が説明した。


「そうなのか?」

「ノーコメント」


俺の答えに真司は納得しなかったが、彼女の瀬川さんに呼ばれて、渋々席を外した。


「あ〜あ、俺も彼女作りたかったなぁ」


守は、本当に羨ましそうにいつまでも去っていった真司を見つめていた。


守が告白も出来ずにいるうちに、茜先輩は、同じ部で、同じクラスの『春樹』役の男と付き合い始めてしまったようだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫