《MUMEI》 クラスの出し物副委員は、黒板に書かれた文字を一気に消した。 そして、書道初段の達筆で 『クイーン救出ゲーム』 と、書いた。 「なぁに? それ」 首を傾げる津田さんと、俺達一年五組の面々。 副委員の眼鏡がキランと光った。 「お客が勇者、目的はクイーン、つまり、津田さんの救出。 他の連中は、それを邪魔するモンスター」 『モンスター』 そう言われて、女子が不満を訴えた。 (普通、やだよな) 「別に、特殊メイクとかするわけでも、力だけで戦うわけでもないから。 自分の得意分野で戦ってくれればいいんだ。 例えば、君!」 「へ? 私?」 副委員が指さしたのは、目の前に座っていた、クラスで一番小柄な女子だった。 「そう、君は歴史の年号覚えるの、得意だよね」 「まぁ、…」 女子は、戸惑いながら、頷いた。 「だから、それで戦ってもらうんだ。クイズ形式でね。それから、腕力に自信ある男子は腕相撲で戦えばいい。 何で戦うかは、それぞれが考えるんだ。 これなら勝てるってものをね。 モンスターを男子三人・女子二人倒したら、…津田さん。勇者にご褒美あげてくれる?」 「…いいわよ、考えとく」 前へ |次へ |
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