《MUMEI》 俺の武器津田さんが納得したという事は、取り巻きも、拓磨も納得したという事だ。 その時点で、一年五組の過半数を越え、俺達のクラスの出し物が決まった。 「じゃあ、今週中に、それぞれの武器を考えてね。 期待してるから。 私を守ってね」 津田さんの笑顔で、更にクラスの士気が高まった。 「なぁ、祐也はどうする?」 「う〜ん」 (武器、ねぇ…) 「俺は決めたぜ!キックで津田さんを守る!」 津田さんに熱く語る拓磨の声が聞こえた。 …サンドバックを持った勇者が拓磨のキックに耐えられるか、という内容のものにするようだ。 「守は決まったのか?」 「俺は、体内時計で戦う」 「は?」 首を傾げる俺に、守は説明を始めた。 「昔よくやったんだ。丁度十秒でストップウォッチ止めるってやつ。俺、あれ超得意なんだ」 「へぇ…」 「まぁ、普通は役には立たないけどな」 守は照れながら笑った。 「俺は…」 「祐也は、数学で勝負すれば? 暗算とか」 「そんなに早くは無いんだ…」 俺は自信が無かった。 「田中!お前には『あれ』がある!」 そう叫んだのは、以前俺に絡んだ津田さんの取り巻きだった 前へ |次へ |
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