《MUMEI》

◇◆◇

 虎の刻を回った夜明け。

 浅葱は様子を伺おうと御簾の向こうを透かして見る。

 すると、二人は同じ床で眠り込んでいた。

 浅葱は、はっとする。

 式部は、以前にも同じような光景を目の当たりにしているのだ。

(まさか‥‥‥‥)

「浅葱、どうしたの」

 声をかけてきたのは女房だった。

「姫様はまだ眠って居られるのよ。起こしてしまっては失礼でしょう」

「は、はい‥分かっています」

 浅葱はぎこちなく取り繕うと、女房の後に続き、長い廊下を歩き出す。

◇◆◇

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