《MUMEI》 背中の痛みとか、吹っ飛ぶくらいの衝撃がやってきた。 文字通り吹っ飛んだのだ。 氷室様は僕の足首だけ掴んで渡部君にぶつけた。 実質、頭突きだ。 頭がクラクラする。 そして、足首を強く掴み肩でジャイアント・スウィングの反対向きのヤツを僕に決めた。 景色が高速で廻ると思ったら楠先生の胴体に何度も直撃(したようだ)。 「ピギィーーーーーーーー」 言葉にならないような先生の苦悶した断末魔を聞いて空っぽだった思考が起動する。 気付いた頃には楠先生はバランスを崩し倒れていた。 僕は氷室様の肩に膝まで掛けられて、鉄棒でいう『蝙蝠』のぶら下がり方をしていた。 氷室様は長身だったので僕が腕を垂らしても地面に着くことは無い。 「……勝負あったな?」 氷室様、確かに円から出したら勝ちのルールだったけど、騎馬形態は崩しちゃいけないんですよ…… 決して地面に着かないから勝ちという訳ではないのです…… 前へ |次へ |
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