《MUMEI》
普通以上の能力
『普通じゃない出し物だな。で、お前の普通は、もう決まったのか?』


旦那様の命日が近いので、忍の返信は一日一回になっていた。


「悪かったな。まだだよ。じゃあ、また明日」


俺は素早く指を動かし、送信ボタンを押した。


(ふう…)


久しぶりに体を動かし、俺は疲れていた。


俺は、津田さんの取り巻きに勧められた内容で、今日試しに何人かの同級生と対決した。


結果は、俺の圧勝だった。

(まぁ、忍に昔鍛えられたからな)


俺は、忍から護身術を習っていた。


『旦那様が悲しむから、絶対に体にそれ以上の傷は作るなよ』


そう言われて、俺は、攻める事よりも身を守る事や


攻撃を避ける能力が普通よりかなり高くなっていた。

津田さんの取り巻きは、以前俺が一対二という不利な状況でも、軽々と攻撃を避けていた事を鮮明に覚えていたのだ。


(実際殴られるとかじゃなくて良かったよな)


俺の、回避能力の高さを武器にした内容。


それは、一分以内に俺の頭につけたハチマキを、勇者が奪うというものだった。

俺は、逃げるだけで攻撃はしないというハンデがあったが、それは大したハンデにはならなかった。

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