《MUMEI》 「あれ?…テレビが付いてますよ、付けっぱなしだったんですか?」 部屋の中央にあるソファーの置かれたリビングの方を見ると、ソファーの前の大きなTVが付けっぱなしで画面にはこっちの子供向けアニメが流れていた。 「消した筈だが…」 「そうなんですか?」 ゆっくりとソファーの方に近づいていくと、背もたれの辺りから何かフワフワした動物の毛のようなものが見えた。 「これは…」 「あっ!にいちゃ!?おかえりなの〜♪」 突然僕らに気付いたそのソファーから見えていたフワフワなものが、飛び跳ねながら可愛らしい声を上げた。 「えっ…子供?」 「ありぇ?」 窓から入ってきていた日の光に照らされて、雪のように真っ白なその天使のような癖っ毛がフワフワと揺れている。 「ん〜…?」 その子供は僕を見るなり驚いたように目をまん丸にさせると、こっちをマジマジと見つめてきた。 「ありぇ〜…おきゃくしゃん?」 「こんにちは…あれ、日本語だ…」 この子、金髪と青みがかった瞳の完璧に西洋人な見た目なのに、よくよく喋っている言葉を聞いてみると流暢な日本語を喋っていた。 その子は、今まで食べていたであろう食べ物で口の周りをべったりと汚しながら、片手に何か白いお菓子のようなものを持ってソファーの上に立ち上がっていた。 「あぁ〜…口の周り汚しちゃってる、パパとママはどうしたの?」 「…そうだ、親父達はどうした、くるみ!」 (くるみ…って名前だよね、この子くるみちゃんって言うんだ……日本語の”くるみ”かな?だとしたら女の子なのかな?) くるみといわれたその子は指をペロペロと舐めながら、舌っ足らずな口調で色々と話し始めた。 前へ |次へ |
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