《MUMEI》

「……ヒュゥ……ヒュゥ………コフッ!……ヒュゥ……」


胸に日本刀を突き刺さしたまま、血まみれになって横たわるスネオが居た。



笛のような音は、スネオの傷口から直接漏れる、彼の呼吸の音だったのだ。



「――…スネオさん……生きてるの……?」



ドラミの独り言のような問いかけに、スネオはゆっくりと顔を向けて応えた。



「――…ぁぁ……く…る…しぃ……ヒュゥ……ヒュゥ…」


かすれた声がドラミに何らかの救いを求めている――…。



その死に際の目は、焦点が定まらず、視線は頼りなく虚空をさ迷っていた…。



もはや彼が望む“救い”とは、彼を楽にしてやること以外に無いことをドラミは悟った。

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