《MUMEI》 「……ヒュゥ……ヒュゥ………コフッ!……ヒュゥ……」 胸に日本刀を突き刺さしたまま、血まみれになって横たわるスネオが居た。 笛のような音は、スネオの傷口から直接漏れる、彼の呼吸の音だったのだ。 「――…スネオさん……生きてるの……?」 ドラミの独り言のような問いかけに、スネオはゆっくりと顔を向けて応えた。 「――…ぁぁ……く…る…しぃ……ヒュゥ……ヒュゥ…」 かすれた声がドラミに何らかの救いを求めている――…。 その死に際の目は、焦点が定まらず、視線は頼りなく虚空をさ迷っていた…。 もはや彼が望む“救い”とは、彼を楽にしてやること以外に無いことをドラミは悟った。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |